2009年10月30日金曜日

生々しい話

仕事上のお付き合いで建主と設計屋の信頼関係がこじれそうになっている住宅建設の相談を受けている。僕に出来ることは限られているので、出しゃばる必要などこれっぽっちもないのだが、困っている人をほっておけないのが、今回の話。問題となっている事実としては、出来上がった建物が確認申請の内容と異なる点。そのため、引渡し後数ヶ月たつも、完了検査済証が発行されないでいる。階の高さ、建物全体の高さ、配置など一目で見て分かる事項も多数。建設の途中で建主の意向が変わり、予定と異なるものが完成してしまった点のみで話を進めれば、事後でも計画の変更を公機関に申請しなおし、法令遵守の元、認可をいただけば済むことだと思う。必要であれば手直し工事も発生するだろう。が、配置計画は設計屋が独断で行ったことだと。。何故か?建物配置を換えたほうが見晴らしがよいと思ったからだとか。。。。ん~、当初の計画からそうはできなかったのか。。。問題は、これにつきない。敷地の4方向とも塀なり、根伐り(建物の基礎を工事する際に地面を掘ること)が敷地を越境している。大きいところでは水平方向に3mもある。狭い土地で隣地の地権者の了承のもとに、一時的に土地を借りて建設を進めないと、建て替えが行えないことは密集市街地においては、ありえる事態だと思う。が、今回計画は山の中。塀の越境は明らかな測量ミス。隣人への承諾も行われていない。さらに4方向あるうちの1つは、所謂”赤道”で、公図上に存在する道。道路法の適用外で、使用されていないことが多いので道だと見た目だけでは判断しにくいが、正確には公の土地である。そこを勝手に工事中に削ってしまったと。。建物配置を換えたから。。。さらに驚く事実としては、工事中の産業廃棄物を赤道含め、隣接する土地に相当量、埋めたり捨てたりしている。。。ん~、これは設計屋もどんなに目を光らせて監理していたとしても、見抜けないかもしれない。工事屋の倫理感の欠如した事項であり、請負額を満足に支払っていただけないだろうと思われる。が、さらに驚いたのが当の設計屋さん、工事元請なのであった。しかも建主は満額の支払いを終えている。建設業許可を得て、工事を請けているかどうかは、定かではないが、話があまりにも杜撰すぎる。これでは丸投げではないか。設計事務所の業務が社会から大きく信用をなくしてしまった、一連の構造計算偽装事件が記憶に新しいにもかかわらず、こんなことが平然と済まされていては、まじめに業務に取り組んでいる我々としては、迷惑も甚だしいと感じ、僕よりも一回り以上年配の当の設計屋には、思いのたけを伝えさせていただいた。事の決着は法に委ねるとして、設計事務所が社会から必要な存在だと認めてもらえる日が再度訪れるには、職能全体で、言葉で語るにはあまりに簡単すぎる”意識改革”を行う必要性があると痛切した。

2009年10月22日木曜日

百姓モデル

顧問税理士の担当の寺内先生とそのボスの北見さん、プラス倉島陽一氏と会食。倉島氏はMS4D役員でもあるが、自身でWEB制作を主体とした会社(A.C.O)を経営している。今こそ異なる業界を牽引しているが、芸大建築科の先輩である。成長産業であるIT業界の先端事情を倉島氏からヒアリング。産業全体が目覚しいスピードで変化していることに驚きを覚えるとともに、自分が身をおく建築設計、建設業界はいまだに旧態依然としているなと。そんな近況話を肴に、おいしい食事とお酒に舌鼓を打ちながら、話は不況対策話へ。ぶっちゃけの悩みに同席してくれる顧問税理士の先生に感謝。不況を乗り切るビジネス展開として敢えて口にするなら”百姓モデル”。あまり背伸びはせず、拡大や一発逆転など狙わずに、丁寧に作物を育てる。大地に感謝、太陽に感謝。手伝ってくれる人に感謝。作物を飼ってくれる人に感謝。気候を読み、限られた土地からどうやっておいしい作物を得られるのかを試行錯誤するのも、クリエイティブ力の発揮がしがいあるというものだ。豊作の時は物々交換で、自分では作れないものを、いただく。耕す土地を持っていなければ、人に負けないくらい研ぎ澄ました鍬と技で、バーターを申し出る。などなど、お酒も回って、いい気分ではあるが、緊張感のある会話であった。百姓とは、漢語からの輸入語で、ある語源説には、多様な生業に従事する特定の身分の呼称とされている。農業経営に従事する者のみならず、商業や手工業、漁業などの経営者も包括していたらしい。百姓とは、(百)多くの (姓;かばね)職業というわけだ。勝ち組、負け組みというフレーズも久しくなったが、さまざまなプロフェッションが互いを蹴落として這い上がるのではなく、それぞれの特技を活かして共生していけるような世の中が来る日を待つ。だけではなく、率先して行動しようと思った次第だ。

2009年10月20日火曜日

猪俣邸


最近始まった仕事の打ち合わせで成城にいく。計画地のそばにある吉田五十八設計の猪俣邸庭園にぶらっと立ち寄った。耐震上の問題で邸宅の中までは見学できなかったが、庭園は自由に見学できる。年月を感じさせる木々と杉苔が600坪の敷地に広がる様は、ちょっとした異空間。静かな時間が流れ、築40数年の時の経過をそこかしこに感じ取ることが出来る。年をとっても風格を保ち続けられるような建物と周辺環境の設計を心がけたいと思った1日だった。

2009年10月9日金曜日

市場

自分はマーケットが好きだ。なぜか?理由は良く分からない。とにかくワクワクする。自分なりの分析では、同じような品物が多数並んでいる情景に惹かれるのと、人の活気。圧倒的な物量が周囲を取り囲みごちゃごちゃとした中を練り歩くときに目に飛び込んでくる視覚情報の量と、整理されすぎていないのですべてを網羅することが出来ずに、情報収集消化不良が起きてちょっとした混乱が起きる感じ。旅行に行くと、市場を探して覗いてみることが多い。本日は現在計画が進行している串焼き屋のインテリアデザインの現場が、生鮮市場のそばだったのでぶらっと立ち寄った。TBS系のドラマ”こち亀”のロケ地に使用されたらしい。2階建ての家屋の中が2層吹き抜けの市場になっており、トップライトからの自然光で広さの割りに明るい。昼間から活気に満ちていた。

亀有食品市場

2009年10月8日木曜日

那須で台風

新しいお仕事の話があり、台風直撃の当日であったが、先方の都合がどうしても本日しか合わず、現地に集合。ホテル、飲食、温泉、SPA,エステなどの複合宿泊温浴施設のリニューアル計画。正午がちょうどすぎたころ、それまで外に立っていられなかったほどの暴風雨がピタッと止み、空が一瞬明るくなった。その瞬間をパチリ。その後調べて分かったのだが、この地域、台風が直撃していた様子。もしかして、これって台風の目?既存施設の視察と体験とオーナーの意向をヒアリングする目的に、ひとつおまけがついてきた。