2009年6月27日土曜日

部分最適と全体最適

コミュニケーションデザインインスティチュート、通称CDI植野勧さんと月島もんじゃ進行会共同組合の会長と会食。植野さんとはかれこれ10年来のお付き合いで、自分が大学卒業後、無謀にもすぐに独立し、食い扶持に苦労していたドミトリーアーキテクツ時代に、社会人経験の少ない自分にでも出来る仕事を紹介していただいていた恩師だ。話題は共同体精神、教育、におけるボランタリー精神について。地域産業活性化に不可欠な地域コミュニティ、学校教育と家庭内教育との中間的な位置ずけとして機能してきた、少年野球クラブやサッカーなどの地域教育。これらには、概してボランタリー精神にあふれた名物"おやじ"が必須で、人の子を叱るにも、コミュニティ活性のために一肌脱ぐのも、個人の損得勘定を越えた全体最適のための強烈な個性の持ち主で親分肌の”おやじ群”によるボランタリー精神がそれらを支えていたのではないかと。行過ぎた自由競争社会が、そんな精神を排除してしまったのではないかと。自分も今年で35歳。よい年齢になってきた。部分の最適化より全体最適を視野に入れた行動を実践していきたい。

2009年6月24日水曜日

不況対策

とある編集社から出版される、設計事務所の不況対策特集の企画会議に参加。僕なんかでよいのかな?と思いながら、思いのたけを語る。同席者中、建築家、森山高至さんのスタンスが非常に興味深かった。なんでも新聞折込のチラシ広告を自費で行い、設計を受注したことがあるとか、”今なら住宅設計料100万円キャンペーン” (監理なしで、打ち合わせ回数に制限があるらしい。そのあたりの対価に対するサービス内容の明確化にも務めておられる。)をWEB上で実施して顧客と出会ったとか。その他にも、アイデア満載の武勇伝を聞かせてもらった。構造設計事務所やフィナンシャルプランナーとデスクを並べて、業務提携している点も特徴的だ。もし仮に僕が今まで思いついたとしてもどこかでブレーキをかけたであろうことを、何のためらいもなく、”やれることから実施する””出合った人全員が顧客候補”などなど氏のを聞いていて、自分の想像力のなさと、実行力のなさ、クリーンでカッコイイスタイルに固執している器の小ささを感じた。氏曰く、自己顕示欲を満たすための”作品作り”を続けることを止め、サービス業としての住宅建築設計をまじめにビジネスすることにマインドチェンジした瞬間があったとか。お高くとまってお客を待っているだけの設計事務所は、エンドユーザーからみて、どんなサービスが受けられるのか分からないだろう。自分の行っているサービスを知ってもらうことからはじめる必要があるなと感じたと同時に、集客や営業、接客術にも、創造的なオリジナルアプローチがあってしかるべきと感じた。

2009年6月23日火曜日

東京の町とピータースタッチベリー

昼過ぎからリノベーション案件の視察4連発。立地と建物の状況を見て、どのように活用できるのか?ターゲットはどのへんか?どんな改造を行うべきか?収支の見合いはどうか?借地権などの権利関係はどうか?リノベーションでテコ入れしたとしてあと何年くらい持つか?建て替え可能か?瞬時に考え、アイデアを出し合う。本日は東京イーストサイドの、神田、森下、本所、浅草の1棟ビルまたは1戸建て。土地の大きさと建て物の築年数、売買価格からだけでは、正確な事業収支はつかめない。やはり、現地の生の状況を視察し、リノベーションにかかるイニシャルコストも含めた計画とするべきだ。4つとも密集市街地に建っている。人がそこで過ごすという観点からは、決して快適には映らない。隣の建物との間隔は20センチ。夕刻から芦沢さんがローカルアーキテクトを務めている関係から、氏のオフィスで開催されたオーストラリア建築家、ピータースタッチベリー氏のレクチャーを聴きにいく。地球環境という大きな自然の中で、自然エネルギーをいかにしてプリミティブな操作で住環境に適用させていくかといった氏のテーマが終始語られた。時には、砂漠地帯のトカゲの生態について、ワニのうろこの凹凸について、洞窟の中の鳥の巣について、アボリジニーのライフスタイルなど、自然の摂理と生命の進化にまで話は及んでいた。環境についての議論が活発な昨今、そうした原初的な気付きと発見は大切だと感じると同時に、ここ、東京で自分はこのようなプリミティブな思考を持ち続けられるのか?通用するのか?建築が社会性を持っているとするならば、きれいごとでは済まされない、毒を含んでしかるべきなのではないかとも、感じた。ただ、氏の言葉に”土地を感じる”というものがあった。うむ、なるほど。

2009年6月18日木曜日

PMO

本日は、野村不動産が開発したプレミアムミッドサイズオフィス(PMO)のモニタリングイベント。設計やデザインで関わらせてもらったわけではなく、インターオフィス+MS4Dでイベントオーガナイザーとして携わらせていただいた。各界の勢いのある方々に内覧いただき、ご意見を頂戴するイベントだが、小雨がぱらつく天候にも関わらず、沢山お方に足を運んでいただいた。感謝。PMOに関して言えば、野村不動産がこのような開発に力を入れていることにまず驚いたのと、今後も東京イーストサイドで、数棟の建設を控えていることを思うと、複数の同じシリーズの建物が存在する事で得られる、面的な展開があってもよいのではないかと思った。オフィスは企業の生産性と直結する場所。企業体質や働き方自体に変化が生じているときだからこそ、僕らのようなアイデアと創造性を生業に生きる設計事務所が意欲的に取り組むべき題材だと感じる。

2009年6月16日火曜日

NCオフィス工事現場

木造住宅のオフィスへのリノベーションプロジェクト”NCオフィス”の工事現場。プロジェクト進行の詳しい解説が、「オモロー不動産」ブログで紹介されている。

2009年6月9日火曜日

制度と自由

建築士法改正にともなう、1級建築士定期講習なるものに行って来た。ビッグサイトに800人の設計士が集まって、建築基準法、建築士法、関連法令などの改正のポイントと建築士の社会責任云々についての講義を丸1日がかりで受ける。これをすっぽかすと懲戒処分とか。昨年夏に受けた管理建築士講習なるものとその内容の大半がかぶっていたので退屈だ。会場で母校東京芸大の恩師、六角先生に会う。会話を交わす内に気持ちはタイムスリップし、学生時代に心に抱いた建築計画の自由さ、無限の可能性に夢ときめいていた頃を思い出す。いまから思えば無知のきわみともいえるような内容の計画をそれこそ、”自由な発想”の名の元に課題にぶつけていたな。学生の特権。そんな桃源郷から現実に戻って、講義の続きを受けながら感じるのは、今回の法改正は、建築設計事務所の淘汰を加速させるひとつの要因になりうる。ということ。経済状況も芳しくないが、制度がそれを後押しし、人、物、金、体力のない事務所は生き残れないような仕組みに感じる。住宅瑕疵担保履行法は建築設計の自由な発想を奪うとも感じる。と同時に、今までがおかしかったのだとも思う。建築士免許貸しは横行していたし、今まで賠償責任保険への加入なしに設計事務所を運営できていたこと自体が”社会責任を取っていませんよ”といっているようなものだ。リスクも責任も背負わない自由などないと思う。それは自由なのではなく”自分勝手”なのだと。制度によって自由が奪われると文句を言うぐらいなら、”創造性という自由”を守るために、制度以上に厳しい自主規律をつくるべきだとも思った。

2009年6月6日土曜日

マーケット

近所のマーケットへブラブラと。気になる魚屋の店名が分かった。店の端っこのほうに看板がかかっていた。”いとうや”。いつもここへ来ると物色する、魚1匹まんまコーナーには、丸々太ったアオハタが。珍しい。見た目の黄色がかった姿から”キハタ”ともよばれる。魚の中でもハタ科の魚は好きだ。下あごがグイと出た大きな口で、自分の半分くらいある獲物も丸呑みにする獰猛さを持っている肉食魚。美味。海の中で出会うと、丸い尾びれ、胸鰭を上手に使って、水中にホバリングして見せたりする。ほとんどの種類が雌性先熟(はじめは雌で途中雄に性転換する)なので、このキハタもメスかな?などと買い物もしないでうろうろしていては迷惑なので、本日は鱚(キス)とトビウオを購入。てんぷらと塩焼き予定。

2009年6月4日木曜日

鮨打ち合わせ

ゴルフプロのTAKEさんこと小山武明さんと打ち合わせ。TAKEさんブログはこちら。打ち合わせ後、乃木坂の鮨屋へ移って会食。真鯒、稚アユ、マナガツオ、アサリなどなど、旬の魚を肴にゴルフ談義、時事ネタ、プロジェクトのことなどで盛り上がる。僕はゴルフはやらないのだが、自分の仕事にも通ずる話があった。1打1打はもちろん大切なのだが、それらの積み重ねとなるコース通しての安定感、はたまた生涯を通しての安定感が大切だと。うむ。心得た。