2009年6月9日火曜日

制度と自由

建築士法改正にともなう、1級建築士定期講習なるものに行って来た。ビッグサイトに800人の設計士が集まって、建築基準法、建築士法、関連法令などの改正のポイントと建築士の社会責任云々についての講義を丸1日がかりで受ける。これをすっぽかすと懲戒処分とか。昨年夏に受けた管理建築士講習なるものとその内容の大半がかぶっていたので退屈だ。会場で母校東京芸大の恩師、六角先生に会う。会話を交わす内に気持ちはタイムスリップし、学生時代に心に抱いた建築計画の自由さ、無限の可能性に夢ときめいていた頃を思い出す。いまから思えば無知のきわみともいえるような内容の計画をそれこそ、”自由な発想”の名の元に課題にぶつけていたな。学生の特権。そんな桃源郷から現実に戻って、講義の続きを受けながら感じるのは、今回の法改正は、建築設計事務所の淘汰を加速させるひとつの要因になりうる。ということ。経済状況も芳しくないが、制度がそれを後押しし、人、物、金、体力のない事務所は生き残れないような仕組みに感じる。住宅瑕疵担保履行法は建築設計の自由な発想を奪うとも感じる。と同時に、今までがおかしかったのだとも思う。建築士免許貸しは横行していたし、今まで賠償責任保険への加入なしに設計事務所を運営できていたこと自体が”社会責任を取っていませんよ”といっているようなものだ。リスクも責任も背負わない自由などないと思う。それは自由なのではなく”自分勝手”なのだと。制度によって自由が奪われると文句を言うぐらいなら、”創造性という自由”を守るために、制度以上に厳しい自主規律をつくるべきだとも思った。

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