2009年7月14日火曜日

草市

月島の草市にぶらっと寄る。大型ショッピングセンターの進出によって地場の商店街が打撃を受けている話は、そこかしこで聞くが、月島ほど商店街の活気と熱が冷めやまない場所を僕は知らない。7月12日、13日、14日の3日間の開催で、十数万人の来場があると聞く。すごいことだ。草市とは、元来お盆用品を商う市で、焙烙(ほうろく=素焼きの土器)、麻幹(おがら=麻の茎を乾燥させたもの)、ほおずき、溝萩(みぞはぎ)、桔梗など、お盆が近づくと先祖の霊が山や西方から下りてきて、それぞれの家に帰り着けるように盆路(ぼんみち)を整えたり、盆花を用意する際に使用される品々を商う市場だそうだ。その他茄子や胡瓜に割り箸などを突き刺して作った牛馬(子供の頃、お盆のときに作ったのを記憶している)、ハスの葉(お供え物を載せる)、灯籠、団扇、提灯などなど、地方によって多彩な習慣があるそうだ。月島の草市もかつては、お盆用品を扱う露店でひしめき合っていたそうだが、今では縁日と変わらない飲食中心の屋台となっていた。都心の生活と仕事に追われていると、こうした日本の行事と文化を忘れてしまう。伝統だから、風習だからと、本来の意味をかみ締めることなく、安易に習慣化されることに疑問はあるが、目には見えない心の文化自体が、消えてゆくような無念さも同時に感じる。心と時間にゆとりを持ちたいものだ。

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